一般ユーザーや企業に対して、
必要な時に必要な量のITリソースをインターネット経由で提供しているサービスのことを「パブリッククラウド」と言います。
国内のパブリッククラウド市場は年々高い成長率で推移しており、
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社が発表したレポートによると、2022年には2017年の約3倍の市場規模になると予測されております。
IDC Japan株式会社によ国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測より
その大きな理由の一つとしてセキュリティに対する漠然とした懸念が解消されているといいます。
このように、いま注目されているパブリッククラウドサービス。
オンプレミスと比べてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
今回は「オンプレミスとパブリッククラウドの比較」についてお話させていただきます。
パブリッククラウドのメリット
まずはパプリッククラウドのメリットからご紹介いたします。
【メリット①】初期投資が少なくスモールスタートが行いやすい
パブリッククラウドの料金体型はほとんどが従量課金制です。
初期費用は0または非常に少ない額であり、それゆえスモールスタートでシステムを開発しやすいというメリットがあります。
【メリット②】柔軟なスケーリングが可能
パブリッククラウドはリソースが足りなくなったら即時に付け足せますし、
不要になったら素早く削除することが可能です。
そして「従量課金制」であるために、時間的なメリット以外にもコスト的なメリットもあります。
オンプレミスでは”買う”という調達方法なので、リソースを買ってしまったた最後、
不要になったから返します、なんてことはできませんが、
パブリッククラウドであれば、さっさと減らして無駄なコストをカットするということができるんです。
【メリット③】自分たちで基盤を容易にかつスピーディに調達・構築できる
オンプレミスでは、一からすべて自前で調達します。
ですからハード面の技術スキルも必要ですしサーバーを輸送する時間も必要です。
ですが、パブリッククラウドであればハード面は利用者側からは見えないようになっています。
ボタンをポチポチすれば簡単にサーバーを立ち上げることができます。
オンプレミスのように難しいハードウェアやネットワーク知識がなくてもなんとかなります。
サーバーの輸送なんてことも必要ありません。
ボタンをポチッとクリックすればものの数分でサーバーが立ち上がります。
【メリット④】システムの一部の管理をクラウドベンダーに任せられる
上記の③でも少し触れましたが、
オンプレミスはすべて自分で管理しなくてはなりません。
ですがパブリッククラウドであれば、一部をベンダー側に任せることができます。
物理的なサーバーやネットワーク構築が代表例ですね。
その分必要となる技術スキルや人手がいらなくなりますのでシステム開発費用は少なくすみます。
また、運用・管理面においてもそれは同様です。
例えばハードディスクの耐用年数が過ぎそうだから交換する、なんてことはすべてベンダー側で行なってもらえますから、
利用者側は考えなくてよくなります。
そしてセキュリティ対策についても大きな恩恵があります。
詳細は↓こちらの記事をお読みください。
AWSへ移行してセキュリティは問題無いのか?と思っている人へ
【メリット⑤】国内DRが簡単に構築できる
DRとは、「Disaster Recovery(ディザスタリカバリ)」の略で、災害復旧という意味になります。
例えば、
阪神淡路大震災や東日本大震災級の地震がきても大丈夫なように
予備システムを地理的に分散させておくことです。
AWSにはじまり、多くのパブリッククラウドサービスが世界中のデータセンターを利用しています。
AWSは、日本国内でも数カ所のデータセンターを持っており、
どのデータセンターにEC2サーバーを立ち上げるかということを利用者側で選択できるようになっています。
なので、例えばあるEC2サーバーは東京のデータセンターに立ち上げ、
そのサーバーの副系は大阪のデータセンターに立ち上げる、なんてことが容易に実現できるんです。
これをオンプレミス環境で実現しようとすると、とても多くの資金かかることになりますが、
パブリッククラウドでは非常に低コストで実現が可能です。
【メリット⑥】簡単に試せる
上記①③の結果として、簡単に試せるというのもパブリッククラウドの大きなメリットです。
オンプレミスの場合は調達したら最後、返品することは基本的にはできません。
ですから、膨大な工数をかけて綿密な机上設計を行ない、ようやくサーバー構築にとりかかります。
そうこうするうちに2ヶ月、3ヶ月とあっという間に時間が過ぎ去ってしまうわけです。
結果が良ければまだいいですが、机上の空論となってしまうこともしばしばあります。
しかしパブリッククラウドであれば、そんなまどろっこしいことをしなくてすみます。
初期費用はかかりませんから「とりあえず試してみよう。ダメだったら削除しよう」という感覚です。
実際に試した結果ですので、信頼性が非常に高まりますし、工数も短くてすみます。
パブリッククラウドのデメリット
次にデメリットをみていきましょう。
クラウドベンダーに影響されてしまう
クラウドベンダーはハード面のメンテナンスを日々行なっております。
中にはサーバーを止めて行わなくてはならないメンテナンスもありますから、そんな時は事前に告知した後、有無を言わさずサーバー再起動がかかります。
また、極端な話、ベンダー側の都合によりパブリッククラウドサービスの提供が終了してしまうリスクがあります。
そうなった場合、そのクラウドサービス上で稼働しているサーバーも他のベンダーへ移行しなくてはなりません。
ちなみに、AWSはサービス撤退の30日前までに告知するという契約になっています。
ハイブリッドクラウドからはじめてみるのもアリ
いくらセキュリティの懸念が払拭されても、
やはり今までオンプレミスで稼働していたシステムをまるっとパブリッククラウドへ移行するというのは非常に大きな決断がいります。
そんな時に有効なのが、一部のシステムをパブリッククラウドへ移行する「ハイブリッドクラウド」です。
AWSではオンプレミスの閉域環境をクラウドまで拡張するために、
プライベートネットワークを構築するためのサービス「VPN」や「DirectConnect」を提供しております。
まずはこのようなサービスを利用して、一部のシステムをクラウドとし、様子をみながら段階的に移行するという方法もよいかもしれません。
以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。
hidesanでした。